心の病気になった時、またはっきりとした自覚症状はないものの、体に異常はないものの心に不調を感じた時に、専門家に見てもらいたいと考えることがあるかもしれません。その場合、心療内科と精神科のどちらを受診すればいいのか悩む方は少なくありません。実は心療内科と精神科は心の病気を診察することに違いはないのですが、明確な違いがあります。そこで心療内科と精神科の違いと、受診する際にはどちらをどういった基準で選ぶべきなのか詳しくご紹介します。

精神科と心療内科は別の物?その違いとは

精神科(精神神経科)と心療内科は心の病気を治療するという点では似ているのですが、実は別々の科です。精神科は精神疾患が治療対象ですが、心療内科は内科から派生した比較的新しい診療科目です。心療内科専門医になるためには、内科医の資格が必須となっています。さらに大きな違いは以下のようになります。

  • 心療内科の治療する疾患は心身症
  • 精神科の治療する疾患は精神疾患

心の病気の中でも、心の問題によって体に症状が現れている場合は内科の治療が可能な心療内科、心の病気でも心に症状が出ている場合には精神科が専門ということになります。また精神科では依存症や認知症も専門に診ています。

心療内科と精神科は違うがどちらも診療している病院も多い

心の病気かもしれないと感じた場合、心療内科と精神科のどちらを受診するべきか悩む方もいらっしゃるかもしれません。ただ、症状がはっきりと分からないものの「心の病気かもしれない」と思うのであれば、どちらを受診しても問題はありません。また心療内科と精神科を併設している病院やクリニックも多くありますので、心療内科を受診してみて、診断結果から判断してもらう方法もあります。ただし、全国で心療内科医は少なく、圧倒的に精神科医の方が多いです。心療内科と精神科の診察する疾患は重なる部分は多いのですが、医師によって診察や治療ができる病気には違いがあるということも覚えておきましょう。

迷った時にはかかりつけ医に相談する方法もある

心療内科と精神科を併設している病院が近くにない場合には、かかりつけ医に相談する方法もあります。今の自分の現状(心や体の症状)を説明し、心療内科と精神科どちらの診察を受けるべきか判断してもらいましょう。自分では判断しきれなくても、症状によってはすぐにどちらかの診察を受ける必要がある状態になっていることも考えられます。

心療内科の専門医は少ないが内科や精神科で心療内科を標榜していることも多い

全国で心療内科医は少ない現状がありますが、心療内科と精神科の診察する疾患には重なる部分もあるため、心療内科を標榜(専門以外の診療科も表記)していることが多くあります。ただし専門ではないため、疾患によっては対応できない可能性もあるのです。そのため診察の結果重度であると診断されれば別の病院を紹介される可能性もあります。

心療内科と精神科どちらを受診するべきか症状から判断する

ストレスや心の落ち込み、疲労感があるなら、心の病気である可能性があります。そこから以下の症状があった場合に、心療内科と精神科どちらを受診するべきか判断しましょう。

  • 幻覚や妄想があり、死にたい気持ちが強い、体の症状より精神的な症状が重大な場合には精神科
  • 精神的な落ち込みや不安、疲労があるが、腹痛や頭痛、動悸など体の症状の方が深刻な場合には心療内科

近くに心療内科の専門家がいる場合には、軽い精神疾患でも診てもらえる可能性があります。心療内科の専門家がいない、身体的な症状がある場合には内科で心療内科を標榜している医院を受診することをおすすめします。