睡眠に関して何らかの症状や問題が起きている状態のことを、睡眠障害といいます。睡眠に関する問題は、世界中にあるため国際的にも大きく取り上げられています。睡眠不足は健康に影響を与えることに加え、日中に症状が起きて事故につながる深刻な問題です。私たちにとって日々の生活と大きく関わっている、睡眠と睡眠障害について詳しくご紹介します。
睡眠障害とは睡眠に関する問題のこと
今までよく眠れていたのに寝付きが悪くなった、しっかり寝ているはずなのに日中眠くなる、睡眠に関して何らかの問題が起きている状態を睡眠障害といいます。睡眠障害についての分類は国際分類などもありますが、よく見られる障害としては以下の4つが挙げられます。それぞれの睡眠障害の症状と原因を見ていきましょう。
1.不眠症
寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚めるといった症状が起きる不眠症は、多くの日本人が悩んでいるといわれています。また加齢と共に症状に悩む人が増え、男性より女性に多く見られます。不眠症の症状としては、寝付きが悪くなる入眠困難、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、目覚ましで起きる時間より早く目が覚めてしまいそれから眠れなくなる早朝覚醒、寝ているのに熟睡できない熟眠障害などがあります。原因としては、生活環境によるもの、ストレスなど心因的なもの、加齢や病気に原因があるもの、生活習慣が乱れている、アルコールやニコチンの過剰摂取などが考えられます。
2.過眠症
夜寝ているにもかかわらず、日中眠気におそわれ生活に大きな支障を引き起こすのが過眠症です。比較的若い世代に多く発症します。千人から二千人に一人に見られる覚醒と居眠りを繰り返すナルコレプシー、居眠りが長く続く突発性過眠症、強い眠気が長期にわたって続く反復性過眠症があります。原因ははっきりと分かっていなせんが、覚醒維持機能の異常や夜間の睡眠障害などが考えられています。
3.概日リズム睡眠障害
体内時計のリズムと昼夜の生活のリズムが合わないために、活動に支障が出てしまう睡眠障害です。夜勤や日勤の繰り返しなどで体内時計が合わなくなることが原因です。またなかなか寝付けず、一旦眠ると昼過ぎまで起きられなくなる、夕方から眠くなってしまい早朝に目が覚めるといった症状もあります。昼夜逆転の生活が原因で体内時計がずれ、朝起きた時にリセットされないといったとから起きることもあります。
4.睡眠呼吸障害
睡眠中に呼吸に異常が起きる睡眠障害です。代表的なものとしては「睡眠時無呼吸症候群」があり、睡眠時に何度も呼吸が止まります。睡眠時無呼吸症候群は高血圧や脳梗塞などを引き起こす原因になるとされています。原因は空気の通り道である上気道の閉塞ですが、それを引き起こすのは肥満に加え、短く脂肪が多い首、大きい舌、小さいあごといった身体的な要因もあります。
睡眠障害の治療について
不眠症や概日リズム睡眠障害については、要因となる事柄の改善や生活習慣の見直しなどをすることで改善できることがほとんどです。ただし過眠症や睡眠呼吸障害、特に睡眠時無呼吸症候群については早期の治療をすることが必要となります。ただ、睡眠障害は原因がはっきりと分かっていても、「また眠れなくなるのではないか」という不安から繰り返し発生してしまうこともあります。また病気が原因で睡眠障害が起きていることも考えられるため、一人で解決しようとしても困難なことも少なくありません。また睡眠障害は加齢と共に発生することも多く、本人だけでなく家族にも影響が出ることがあります。専門家の診察で原因を見つけた上で、適切な治療を行うことが必要となります。