アルコールの摂取が習慣化することで、進行していくのがアルコール依存症です。自分で飲む量やタイミングをコントロールすることができなくなり、やめなければと思ってもやめることができなくなってしまいます。アルコール依存症は、自身の体に悪影響を与えるだけでなく、家族や仕事、周りの人たちを巻き込み、重大な事故を引き起こしたりトラブルを招いたりすることにもなりかねません。アルコール依存症は病気であり、症状が悪化する前に早急に治療をする必要があります。そこでアルコール依存症とはどういった病気なのか、また治療について知っておきたいことを詳しくご紹介します。

アルコール依存症は進行すると死に至る恐ろしい病気

アルコール依存症は、アルコールの摂取をコントロールできなくなる病気です。アルコールを飲むことが習慣になっている人ほど、「自分はアルコール依存症ではない」という思い込みが強く、「これぐらい飲んでも自分は大丈夫」と考える傾向にあります。アルコール依存症の恐ろしさは、アルコールが原因となる様々な病気にかかるリスクが高まることだけではありません。アルコール依存症は治癒することはないため、治療をしなければ進行してしまいます。アルコールが原因となる病気や事故、自殺に加え、アルコール依存症で離婚、また職を失ってしまう人もいます。

アルコール依存症の3つの症状

アルコール依存症には、3つの症状が見られます。

精神依存

アルコールに対する強い欲求を持つようになるのが精神依存です。アルコールの摂取がコントロールできず、お酒を飲むことが最優先になってしまいます。さらに常にアルコールが体にある状態が続くため、体がその状態に慣れてしまい、アルコールが抜けると様々な症状が起きるようになります。

身体依存

飲み過ぎてはいけない、とアルコールの摂取を止めたり量を減らしたりすると、アルコールに慣れてしまった体に様々な症状が起きます。その症状を離脱症状といい、離脱症状のことを身体依存といいます。手の震えや発汗、不眠、イライラや不安、幻覚やけいれんなどが起きるため、またアルコールを摂取する習慣が戻ってしまうきっかけになってしまいます。

耐性

アルコールに強くなることを耐性といいます。アルコール依存症はアルコールを摂取し続けることで耐性がつき、酒量が増えてしまいます。男性に比べ女性はアルコールの耐性が低いため、短期間でアルコール依存症になってしまいます。アルコールに耐性がつくと、飲んでも酔えないという状況に陥ってしまい、気がつけば酒量が増えているという悪循環に陥ってしまうのです。

アルコール依存症は早期の発見と治療が必要

アルコール依存症は進行するとお酒を飲んでいることに罪悪感があるものの、病気ではないと主張する人が少なくありません。そのため本人だけでなく家族など周りの人と共に治療を受ける必要があります。WHOが定めた6項目の診断基準で、3つ以上が当てはまればアルコール依存症という診断がくだされます。アルコールに対する強い欲求や飲むことを自分でコントロールできない、離脱症状や耐性があり、お酒のことばかり考えてしまう、飲酒によるトラブルなどを自覚していても飲み続けてしまうなど、当てはまるものがあれば今はそれほど飲酒量が多くなくても治療を受ける必要があります。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症は、本人がそれほど重大な事態だと考えておらず、お酒をやめる決意ができない、治療を拒むといった特徴があります。アルコール依存症の治療はお酒を飲まないようにする「断酒」を継続していくしかありません。そのためアルコール依存症の専門外来に通院する、また自助グループに通うなどして、断酒を継続していく必要があります。また悪化している場合は入院により断酒教育プログラムを受けるといった方法もありますので、アルコール依存症の可能性がある家族がいるのであれば、説得し専門機関への相談をすることも考えましょう。