うつ病はすぐに治る病気ではないため、「治療を早く終わらせて社会復帰したい」と考える人は少なくありません。ただ、十分な治療を行わないとうつ病はすぐに再発してしまいます。また再発が多くなればなるほど、より再発しやすくなるという悪循環にも陥ってしまうため、完全に治療を行うこと、そして再発防止を心がけて生活していくことが大切です。そこで、ぜひ知っておきたいうつ病を再発させないためにすべきことについて詳しくご紹介します。

うつ病の再発には2つある?その違いとは

うつ病は再発しやすい病気ともいわれますが、実際には「再燃」と呼ばれるぶり返しと、「再発」の2つがあることに注意が必要です。その違いを見ていきましょう。

再燃とは治療を早く切り上げてしまうことで起きる再発の一つ

うつ病は投薬等の治療が可能な病気ですが、症状が改善しても脳の中では回復が追いついていない場合に「再燃」と呼ばれる状態になることがあります。再発とよく似ていますが、再燃するとまた改めて治療をしなくてはならず、せっかく回復してきたものがやり直しになりかねません。そのため、症状が治まったとしても半年~一年は治療を続ける「維持療法」が必要とされています。

うつ病になったのと同じようなきっかけでまた起きるのが再発

一方、治療が完全に終わり社会復帰できたにもかかわらず、またうつ病になってしまうことを再発といいます。ですが前とまったく同じ原因でうつ病が再発することもあれば、原因が分からないこともあります。ですが再発すると「何度も繰り返してしまうのでは」と不安になってしまい、症状を悪化させてしまうことも少なくありません。うつ病は再発を繰り返すとその頻度が多くなるともいわれているため、再発を予防することが大切だといわれています。

うつ病の再発は60%?再発してしまう3つの理由

うつ病の再発率は、厚生労働省の調査によると60%以上と報告されています。さらに2回うつ病に罹患した人は70%の再発となっており、繰り返すとそれだけ再発率も高くなっていくのです。再発してしまう理由としては、以下の3つのことが考えられています。

理由1.治療を中断してしまう

うつ病には治療によって回復する段階があります。治療をしていても症状がある場合には通院をしなければと考えますが、通常の生活ができるようになると治療を中断してしまい再発してしまうことがあります。

理由2.薬の服用をやめてしまう

うつ病は投薬で治療が可能ですが、副作用を心配し、服用に抵抗がある人ほど改善に向かうと薬を飲むのをやめたり量を減らしてしまったりします。うつ病には調子がよくても再燃の可能性がある維持期があり、この時期にしっかり治療をしないと再発の可能性が高くなります。

理由3.周囲の理解不足

うつ病に関する認知度は高まってきているとはいえ、うつ病が再発リスクの高い病気であるということに関しては理解がまだ十分でないことが挙げられます。うつ病から回復しても、元のように仕事を頑張ろうと無理をすれば、またうつ病の原因となるストレスに追い込まれてしまう可能性もあります。

再発を繰り返さないためには本人と周りの再発への理解が不可欠

うつ病の辛さを二度と繰り返したくないと思っていても、どんなきっかけで再発をしてしまうかは分かりません。以前と同じ状況がきっかけになることもありますが、それだけではないことも多いからです。そのため、再発しないようにするというよりも、またうつ病になりそうな事態に直面したときに、すぐ相談できるよう医師や家族と連携を取れるようにしておくこと、またストレスコントロールなど症状が出たときの対策を学ぶことが大切です。そうすれば悪化を防ぐことができ、再発しないことも多いのです。「うつ病は再発の可能性がある病気である」ということを忘れないようにし、まずはうつ病をしっかり治療することを優先させましょう。