うつ病は誰もがなる可能性があるこころの病気です。気持ちがどうやっても沈んでしまう、何も楽しいと感じられない、といった精神的な状態もあれば、眠れなかったり食欲がなくなったりするといった身体的な症状が出ることもあります。ただ、ストレスがかかる職場で働いていても、うつ病になる人とならない人がいます。以前は「ストレスに耐えられない弱い人がうつ病になる」とよくいわれていましたが、研究などから環境だけでなく性格や遺伝的な要素など様々な要因がうつ病を引き起こすことが分かってきています。そこでうつ病になりやすい人はどんな人なのか、その特徴を詳しくご紹介します。

うつ病の原因は一つではない?知っておきたい要因

ストレスを多く抱える現代人の間で増えているうつ病は、はっきりとした原因が分からない病気です。ただ、近年の研究から脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどが減少することによる機能低下がうつ病に大きく関わっているということが分かってきています。また女性は月経周期でエストロゲンが減少する月経前に、セロトニンの受容体機能が低下するためうつ病になりやすいということが考えられています。このように体内の神経伝達物質が減少する原因として、以下のことが影響している可能性があります。

遺伝的要因

近親者にうつ病になったことがある人がいる場合、うつ病になりやすい傾向にあると考えられます。ただし必ず発病するというものではありません。

環境要因

自分の置かれている立場や周りの環境が原因となっていることもあります。特に多いのが身近な人の死、仕事や財産の喪失、仕事のストレスや人間関係などのトラブルです。一方、結婚や妊娠、引っ越しなど周りからはうれしい出来事と思われるようなことが発病のきっかけとなることもあります。

身体的要因

病気が原因から起きる身体的な不調や、長年積み重なった疲労が原因となることもあります。また治療で服用している薬の副作用、更年期に加え、女性の場合は月経や出産による体調の変化もきっかけとなることがあります。また身近な人の死に直面したり、定年で孤独になったりすることの多い高齢者もうつ病になりやすいと考えられています。

うつ病になりやすい人とは?性格や行動パターンからみる原因

うつ病になりやすい人として、「几帳面」「生真面目」なタイプがよく挙げられます。ですが近年では依存型や自己中心型、また繊細で傷つきやすい気質の人などもうつ病患者に増えてきています。うつ病になる要因には性格だけではなく色々な要因がからむため、必ずしもこういう人だからうつ病になるというわけではありません。それでもうつ病に多い性格や思考パターンがありますので、詳しく見ていきましょう。

うつ病になりやすい性格

一般的にうつ病に多い気質に、「メランコリー親和型気質」が挙げられます。周囲への気遣いを忘れず、常識を重んじるタイプです。問題が起きると自分の責任だと強く思い、悲観的になりやすい性格です。この他、義務感が強く、完璧主義で几帳面な気質の執着気質の人もうつ病になりやすいタイプです。

うつ病になりやすい思考パターン

悲しいことや辛いこと、苦しいことがあると、気持ちが落ち込んだりやる気が出なくなったりするのは通常の反応です。ですがうつ病になりやすい人は、マイナスの思考を持ちやすく、自分の言葉で自分を暗示にかけてしまいます。自分に対してマイナス思考を持つ、また周りのせいにする、未来を悲観して「どうせ上手くいかない」と思い込んでしまうのです。また周りに助けを求めることができない・助けてもらえないと考えてしまう人もうつ病になりやすいタイプといえます。