不安障害の一つであるパニック障害は、体に特に不調はないのに突然呼吸困難になる、心臓に痛みを感じるといった症状が出ます。そのため外出が困難になる、「また同じようなことが起きたら」と不安になって思うように行動ができないなど、日常生活に支障が出て悩む人も少なくありません。ただ、近年パニック障害は治療で治る病気であることも分かってきています。そこで知っておきたいパニック障害の症状や治療方法について、詳しくご紹介します。

パニック障害はパニック発作が繰り返すことで起きる不安症の一つ

パニック障害という病気がはじめて知られるようになったのは、1980年のアメリカ精神学会での発表からです。そのため、当初パニック障害は心の病気とも考えられていました。現在ではパニック障害の研究が進み、早期に発見、治療をすれば完治し再発の可能性は少ない病気とされています。パニック障害は誰もがすぐにそうなるわけではありません。パニック発作という不安症やうつ病の症状として、また特定の対象や状況で起きる発作を繰り返すことでパニック障害になります。パニック発作には以下のものがあります。

突然起きるパニック発作

動悸が激しくなり、心臓の痛みや呼吸困難、めまいや吐き気を伴います。病院に行くと発作が治まり、検査をしても異常がないことがほとんどです。

特定の対象や状況下で起きるパニック発作

ヘビ恐怖症の人がヘビに会った時に、パニック発作に襲われることがあります。発作が起きる原因が分かっていますが、パニック発作が起きる人と起きない人がいます。

パニック障害が起きる原因として脳内神経伝達物質の乱れが考えられている

パニック発作は、年に成人の1割程度の人が経験するとされています。もちろんパニック発作が起きたとしても、ほとんどの人は治療の必要はなく自然治癒します。しかしパニック発作を繰り返し、「また発作が起きたらどうしよう」と不安になり、外出できなくなったりすることがあります。さらに症状が進むと、多くの人の前に出ることも困難になってしまいます。これがパニック障害です。ただ、パニック障害は誰にでも起きる病気であることが研究で明らかになっています。その原因の一つとして、脳内神経伝達物質の乱れが考えられています。

パニック発作は「生命の危機を回避するための行動」

パニック発作が起きる原因には、様々なものが考えられています。その一つに、「生命の危機を回避する」指令が間違って過剰に出ているというものがあります。大きなストレスがかかることにより、脳の活動や反応が過剰となって、大きな不安を呼び起こしているとも考えられるのです。そのため、脳内神経伝達物質のバランスの崩れや元々の体質以上なども原因ではないかという意見もあります。

パニック障害は早期治療が必要な病気

パニック障害の患者の多くは、発作が起きる原因が自分にあると考えています。また周りの家族なども「体に問題がないのなら」と考えてしまい、きちんと理解しないことも少なくありません。その結果、症状が進みうつ病などを引き起こしてしまうこともあります。パニック障害は患者本人にも発作をコントロールすることができません。ただし、きちんと治療をすれば日常生活に支障なく普段通りに過ごすことが可能です。そのためにも、パニック発作が起きた場合には早めの診察と治療が必要です。パニック障害では以下の2つの療法が併用して行われます。

薬物療法

セロトニンに作用するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効であることが分かっており、投与が行われます。

精神療法と行動療法

不安が起きた時、発作に発展しないよう対処する方法について指導を受けます。また不安からできなくなっている行動を、薬物療法を進めながら少しずつできるように簡単なことから繰り返します。例えば怖いと感じている対象を遠くから見ることから始め、最終的には関われるようにするといったことを目指します。