今まで熱心に仕事に打ち込んでいた人が、急に仕事への意欲を失ってしまい、人が変わったような態度を取ったりするのが燃え尽き症候群です。燃え尽き症候群は、直接人と関わることも多い医療や介護、接客の仕事をしている人に多いといわれていましたが、最近では職種に関係なく、症状が出るリスクはあると考えられています。またうつ病とは別の病気ですが、医学上はうつ病の一種とされており、また燃え尽き症候群からうつ病に移行することもあるため、予防が大切だとされています。燃え尽き症候群を予防し、また会社内で燃え尽き症候群になってしまった人を改善に導くためにも知っておきたい症状や治療について詳しくご紹介します。

燃え尽き症候群とは仕事に対する熱意や意欲を失うこと

今まで熱心に仕事に取り組んできた人が、急に仕事への興味や意欲を失い、無気力になったり感情を失ってしまったりする状態のことを燃え尽き症候群といいます。1970年代にアメリカの精神心理学者のフロイデンバーガーが提唱し、一般的にはバーンアウトと呼ばれています。国際的な統一基準が定められており、日本だけではなく世界中で治療すべき病気とされています。

燃え尽き症候群にみられる3つの症状

燃え尽き症候群については、3つの代表的な症状がみられるとされており、それぞれの症状は独立せず互いに関係していると考えられています。詳しく見ていきましょう。

症状1.情緒的消耗感

情緒的なエネルギーが枯渇した状態を指し、日本語である燃え尽き症候群の由来とされている症状です。力を出し尽くして消耗してしまい様々な身体的な症状が現れます。対象となるもの(仕事など)に対して症状が強くみられる一方で、他の対象には症状がみられないという特徴もあります。

症状2.脱人格化

相手の人格を無視した行動や態度を取るようになる症状です。対人の職業(医療や介護職)に多いとされています。今まで親身になって相談に乗ってくれていたのに、急によそよそしい態度を取ったり、事務的な口調で対応したりするようになります。またイライラをぶつけるようになることもあります。エネルギーが枯渇しないよう心を守るための防衛行動とも考えられています。

3.個人的達成感の減少

仕事に対するやりがいを失い、達成感の低下がみられる症状です。周囲だけでなく本人にも自覚はあるのですが、意欲がないため仕事がどうでもいいと感じられ、質が明らかに低下してしまいます。この症状はすぐに現れることもあれば、徐々に進行していくこともあります。

燃え尽き症候群の2つの要因と予防策

燃え尽き症候群が起きる要因と共に、防ぐために気をつけたいことを見ていきましょう。

個人の要因

燃え尽き症候群になりやすいタイプとして、期待に応えようと頑張り続けてしまう人、顧客や会社内の人たちと深い関係性を築こうとする人が挙げられます。自分の理想や目標に到達できないと燃え尽きてしまうため、完璧主義の人も注意が必要です。仕事とプライベートはきちんと切り離す、また会社でもお互いに助け合う環境をつくっておくことが大切です。

環境の要因

職場環境も燃え尽き症候群に大きく関わっていると考えられています。仕事のノルマが多い、またリモートで仕事とプライベートが切り離しにくい、休みの日でも仕事の連絡が入るといったことが多いと、燃え尽き症候群の症状が出てしまう可能性があります。またプライベートで問題を抱えている場合にも燃え尽き症候群になることがあるため、上司はきちんと部下のケアを行う、また燃え尽き症候群になったとしてもゆっくりと治療に専念でき、復帰できる職場環境を整えることも求められています。