私たちが生きていくために必要な器官を動かすために働いているのが、自律神経です。自律神経は私たち自身でコントロールすることはできませんが、活動時に働く交感神経と睡眠時などの安静時に働く副交感神経の切り替えが上手くいかず、バランスが崩れると様々な症状が引き起こされます。それが「自律神経失調症」です。特定の病気ではないため、検査をしてもはっきりしないことが多く、慢性的に症状に悩まされる人も少なくありません。そこで自律神経失調症とはどういったものなのか、その原因や治療について知っておきたいことを詳しくご紹介します。

自律神経失調症は自律神経のコントロールが乱れて起きる状態

自律神経失調症とは、特定の病気を示す言葉ではありません。そのため、何らかの病気によって引き起こされているのか、またその人自身の体質によるものなのか、判断を付けることが難しい状態ともいえます。またうつ病の症状の一つとして、自律神経失調症が起きることもあります。そのため、自律神経失調症と診断される人は以下の3つのタイプに分けられます。

タイプ1.体質によるもの

体質によって、自律神経が乱れやすい人もいます。さらにストレスに弱い体質や性格の人や、思春期や更年期などはホルモンのバランスが崩れるため、自律神経に影響が出やすいといえます。

タイプ2.ストレスによるもの

生活環境の変化や人間関係の変化など、周りの環境が大きく変わった場合には自覚がなくてもストレスを受けており、そのため自律神経のバランスが崩れやすくなります。

タイプ3.精神症状によるもの

自律神経のバランスが崩れている状態よりもさらに深刻な、精神に異常が発生していることで起きる症状の一つとして自律神経失調症になっていることもあります。特にうつ病は自律神経失調症と症状が似通っているため、判別がすぐできないことがあります。ただしうつ病は治療法が明確なので、早期に治療することで早期に回復が望めます。ただし自律神経失調症からうつ病へと進むこともあるため、早めの診察が必要です。

自律神経失調症の症状

体の器官をコントロールしている自律神経が乱れるため、症状は様々です。疲れやすくなる、めまいやふらつき、頭痛や耳鳴り、肩こりや関節の痛み、冷えや発汗、下痢や便秘などいくつかの症状が一度に出ることもあります。身体的な不調だけでなく、よく眠れない、集中できない、感情の起伏が激しくなったりイライラが募ったりするといった精神状態の症状が出ることもあります。

自律神経失調症の原因は人によって違いがある

自律神経失調症は、元々自律神経が乱れやすい体質の人であったり、生活環境の変化が原因で引き起こされたりと人によって違いがあるため、診断が難しい症状です。また他の病気が原因で自律神経が乱れていることもあるため、自律神経機能検査などを実施することもあります。ただし体の検査では異常がなくても、身体的に症状が出ており生活に支障が出ている場合には早めに医師の診察を受ける必要があります。

自律神経失調症の治療法

現時点で出ている症状を緩和し、原因となっているものが何なのかを見定めた上で必要となる治療を考えていくことになります。ストレスが原因の場合は原因を取り除く、また生活習慣を改めてしっかり睡眠を取るなど生活改善を指導することもあります。抗不安薬や睡眠薬などの処方も必要であれば行いますが、長期の使用はかえって改善にならないため、音楽療法やカウンセリングなどの心理療法、またマッサージやストレッチといった理学療法などで体と心両方の改善を目指す治療が中心となることがほとんどです。