私たちが生きるために必須である食事に関する行動に障害が生じ、体や心に影響が出るのが摂食障害です。体重が増えるのが怖いといった悩みだけでなく、ストレスなど様々な要因によって引き起こされる摂食障害は、健康を害するだけでなく周りの家族にとっても深刻な問題を引き起こします。そこで摂食障害とはどういったものなのか、その原因と共に、治療について知っておきたいことを詳しくご紹介します。

摂食障害とは食に関する様々な問題が引き起こされる病気

摂食障害とは、食べることに関して障害が起きている状態のことをいいます。摂食障害には、大きく分けて以下の2つの病気があります。ただしどちらか片方だけではなく2つのタイプを交互に繰り返す人の方が多いのが特徴です。

拒食症

神経性やせ症のことで、食事自体を摂らない、摂れなくなってしまうタイプと、食事をした後に食べた物を吐くことで体重を維持しようとするタイプとがあります。体重や体型に極端なこだわりがあり、外出が困難になったりする傾向があります。この状態が続くと低血糖や低血圧になり、月経が止まる、骨粗鬆症になるといった病気につながります。また心理的問題と関わりがあるため、うつ病など精神的な疾患につながることもあります。

過食症

神経性過食症と過食症障害の2つがあります。神経性過食症は過食しては吐くという行為を繰り返します。一方過食症障害は食べて吐くという行為はしませんが、食欲がコントロールできないことで自分を責めたり強い後悔に苛まれたりすることが多く、そのため精神的な疾患を引き起こすこともある点で通常の肥満とは別の疾患と考えられています。

摂食障害の原因は様々な要因によるもの

摂食障害は10代から20代の、特に女性に多い疾患と考えられています。ただし原因は一つだけではなく、いくつかが重なり合って摂食障害を引き起こしているとも考えられています。

無理なダイエットによるもの

見た目をからかわれた、また他の人と自分を比べてきれいにならなくてはと思い込み、無理なダイエットを続けることで食事が上手く摂れなくなります。またダイエットしてやせても体重の増減に敏感になり「また太ってしまうかも」という恐怖から摂食障害になることもあります。

精神的なストレスによるもの

人間関係のストレスや、親の離婚など家庭内のストレス、また仕事でのプレッシャーや疲労がきっかけで過食になってしまう人もいます。また受験や進学、就職などで親からかけられたプレッシャーや過干渉が原因となることもあります。

価値観や思い込みによるもの

やせた人の方が美しいという価値観や、太っていると嫌われるといった思い込みなどが強く、極端なダイエットに走ることも大きな原因です。またダイエットに成功して人に認められたことが喜びとなり、その快感を得るためにダイエットし続けて摂食障害になってしまうこともあります。

摂食障害の治療

標準の体重を下回っているにもかかわらず、食事や体重増加への恐怖を持ち、栄養が不足している、また女性の場合は生理がないといった状態が続いているなら早期に治療が必要です。もちろん摂食障害で起きている症状の改善が最も必要ですが、摂食障害を引き起こしている原因を取り除くことが最終的な目標となります。食事のコントロールも必要ですが、周りの家族が治療について理解し、患者を支えていく必要があります。さらに自身のストレスを軽減するため、認知行動療法などの精神療法と並行して薬物療法も行われます。ただ極端な体重減少や精神疾患が重度の場合には入院して治療が行われることもあります。摂食障害にはアルコール依存症など他の疾患が関わっていることもあるため、周りの家族やパートナーの協力が不可欠です。